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長屋の軒先でちょいとドカベン萌談義。
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未だぼーっとしてます。
オフでやることがちょいちょいできたので、そっちにも時間を割くことになりそう。まあ、ぼちぼち行きます。

そんなわけでこの前の続き。


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *


詫びられても困る。責めたわけではないのだ。
山田の沈んだ横顔に不安を肯定された気がして、山岡は慌てたように声の調子を明るく変え、「渚の調子はどうだ」と尋ねた。

「あいつ、オーバースローに変えろと言われてふてくされていただろう。やはりコントロールがいまひとつか?」
「コントロールはそう簡単につくものではないので・・・ひとつひとつ、やっていくことですね」

話題が変わってほっとしたように、山田はいつもの人懐こい笑みを浮かべながら答えた。

「後は体力だろうなぁ。走り込みをもっとやらなきゃならんだろう」
「ええ、肩は強い方だと思うので下半身の強化が課題ですね」

そろそろ休憩も終わりだな、と山岡が声をかけると山田はああほんとにそうだ、と言って小さく会釈をすると小走りに合宿所の廊下を駆けて行った。
それを待っていたかのように背後からパチパチと手を叩く音が聞こえてくる。

「・・・三太郎」
「あいつら、必死で走ってますよ。さすがキャプテン、迫力あるなぁ」
「おまえ、後ろでこそこそしやがって」

だって俺が出てったら気ィ抜けちまうでしょう、と三太郎は笑って言った。

「やっぱ、ああいうときは三年生がビシッと怒鳴ってやんなきゃあ」
「だからってお前が後ろに隠れてるこたァないだろう」
「そりゃ、まァ、鉄司さんが出て行かなきゃ俺が水でもぶっかけてるとこでしたけどね」

あいにくバケツが手元になかったもんで、と三太郎はおどけるように片手をひらひらと振った。三太郎の気の抜けるような物言いに心なしかほっとして、山岡は小さくため息をついた。
考えてみれば2年生がいたのだ。主将の山岡が出て行けばすんなりケリのつく話も、2年生の三太郎がいれば叱られた側の心の中に禍根を残すこともあるだろう。何も考えずカッとなって飛び出して行った自分と比べ、なかなかどうして細かいところに気が付くものだと山岡は改めて感心した。

「・・・山田、元気がなかったな」
「まさか、本気にしてるわけでもないんでしょ」

冗談のような声色を使っているが、内心は山岡の反応をうかがうように三太郎が問うた。
一瞬、山岡は三太郎に探るような視線を送ると、

「まさか」

と短く答えた。その答えの前の一瞬の間に、小さなためらいの気配を嗅ぎとって三太郎は押し黙った。

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このブログについて
ドカベンにハマって4年目となりました。水島ファンからするとまだまだ新参者ですがよろしくお願いします<(_ _)> 。ちなみにドカベンには某東京ローカル局のアニメ再放送(2008年1月~)でまんまとハマりました。里中かわいいよ里中。

ちなみにそこそこ乙女向けなのでお気を付け下さい。山里メインの球里・三里てところでしょうか。ロッテの三馬鹿大好きです。里中受はたいがい大好物です。

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